何度も捨てようと思って、玄関の横に置いていた子供の制服。
やっぱりもう少しの間保管しておこうと思いなおし、捨てられず10年がたった。
もういいかなとようやく思えるようになり、処分する決意がついた。
制服ごときに何でここまで感慨深くなるのだろう。
学校見学から受験、制服採寸、そして卒業式と思い出深い場面が蘇ってきて、泣きそうになる。
校門前にある大きなポプラの木がとても眩しくって、この学校に入学できたらいいなと思ったっけ。
「捨てていいよ」と本人は言うけど、いつまでも捨てられず執着したのは母親の私だった。
白い紙に包み、お塩を振ってお清めして、感謝しながら袋に詰めた。
やっと終わったという安堵感となんとも言えない淋しさ。
本人はとっくに、今の現実の日常で生きている。日々の仕事に追われて、学校生活を思い出す時間もないみたいだ。
立ち止まる時間も惜しむように過ごしている。
一方の私は、思い出の物とのお別れ作業に、心がついていけない時がある、、。